旅情(火炎樹の花咲く頃)
ちょっと変だよ日本の教育と思っている帰国日本人が、海外駐在時の見聞録や、日本人をちょっと斜めにみて、子育て、学習指導について応援します。子育て・しつけの裏技もあります。


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接近距離 


 動物が危険を感じて逃げ出す距離を警戒接近距離?というそうだが、人が危害を加えなければずいぶん近くまで寄らせてくれる。アホウドリは、その警戒接近距離があまりにも近いため、簡単に人に捕まり絶滅の危機に瀕していることは有名な話である。
 ベトナムでも小動物の警戒接近距離はいろいろあるようだ。やもりで1メートルくらいだろうか。熱帯地方はこのやもりが年中壁を走っている。灯りの近くにいて、寄って来た虫をすばやい動きで、捕って食っている。思い出したように、「キキキ」と鳴き声を立てているのは求愛かなわばり宣言のようである。近くまで寄って、大きな目をクリクリッとして獲物を待っている姿を見ると、愛嬌があって爬虫類が嫌いな人でも、可愛いと思う人が多い。
 さて、私は70センチくらいに近寄られると、一歩距離を取る行動を起こしてしまう。
 しかし、ベトナム人は、この警戒接近距離が、異常に近いためちょっと異様に感じてしまう経験をよくした。
 町中で、若い女性同士が腕を組んでよく歩いている(これはまだかわいい感じがして許せる。)しかし、男同士で手をつないだり肩を組んだりしている姿を見ると、私の思いからいうと不快な気分になってしまう。何と同性愛者の多い国だ、と目を丸くしたものだ。
 しかし、最近は、これはベトナム人の警戒接近距離がうんと近いこと、むしろ親近感を表す距離ではないかという風に思えてきた。先日、現地校の校長と食事をする機会があったが、話が興じてくると、彼は、私の膝に手を置いて相づちを打っていたのである。「え、この校長、バラ族」と一瞬凍りついたが、そうではなく、警戒接近距離が異常に近いだけだったようだ。
 そういえば、バイクでも車でも、この距離は異常に近い。バイクとバイクや自動車の距離は本当に接触事故ぎりぎりまで突っ込んでくる。彼らはそれでも平気なようである。
 いくら親近感を表す距離とはいえ、道を歩いているとき数センチまで近寄られたのでは、おちおち歩いている訳にはいかない。持ち物は十分気をつけることにしている。
 やもりのように、かわいい目をして無害であることがわかっていても、目の前に飛び出してくると、びっくりすることがあるのだから。




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